勇気について

ギリシャイカロスが、ろうでできた翼を太陽に溶かされて*1墜落死する神話を美化した『勇気一つを友にして』という曲がある。

僕が小学校の音楽の授業でこの歌を習ったとき、デリカシーの無い担任が『たーせる君は意気地なしだから、この歌の“勇気”の意味が分からないでしょうね』と言い放ってクラスの笑いを誘ったものだ。

しかし実際僕はこの歌の意味する“勇気”というものが理解できなかった。 子供心に、この歌は“道路で遊んで車に轢かれる話と本質的に一緒”だと思っており、無謀で危険な行為を勇気などという表現で正当化することに甚だ違和感を覚えたからだ。

ちなみにこの神話は、本来、人間の傲慢さに対する戒めの物語であり、歌われている内容とは全く逆の教訓が込められている。


“──そういや、どっかの神話にあったっけな。『太陽カミサマに近づきすぎた英雄は、蠟で固めた翼をもがれ、地に墜とされる』…ってな”

鋼の錬金術師』の1話目での、主人公エドワード・エルリックによる科白である。

*1:どうでもよいが、太陽の熱は地球に直接届いているわけではないので、少し高度を上げたくらいで蠟は溶けない。